過払い金というのは法律間の上限金利の規定の違いから生じたもので、現在では低いほうが適用になるとされ、かつて余分に支払った分は過払い金と呼ばれるようになっています。
この過払い金は本来支払う必要が無いものですから、現在でも返還を請求することができ、既に無くなった消費者金融の分でも債権が引き継がれていれば請求することは可能です。
ただし消費者金融には返還するだけの余裕が無い場合も有り、何かと理由を付けて返還額の減額を要求してくるので、できるだけ沢山取り戻したい場合には、弁護士などの専門家に任せる事も必要です。
従来から上限金利が法律によって決まっていましたが、どうしたことか法律間で食い違いがあり、消費者金融では高い方に合わせて利息を計算していましたが、利用者は問題にしていたわけです。
しかしこの状況は貸金業法の改正で、低いほうに合わせるという結論が出たことにより、以前計算された利息は取り過ぎという事になったために、この利息の払い過ぎの分が過払い金と呼ばれるようになりました。
ですから以前消費者金融を利用したことがある人の場合には、この過払い金が生じている可能性が有るので、かつて利用していた経験が有れば、よく計算しなおしてみて下さい。
過払い金というのはローンの返済で余分に支払った利息を指します。普通に考えれば、そんなことが生じる訳がないのですが、実際には生じてしまい、現在でもこれが消費者金融の経営の足を引っ張っています。
金利は利息が青天井では困りますから、法律で上限が決められています。ところがこの上限金利は困ったことに法律によって規定に違いがあります。
この上限金利を決めている法律は、利息制限法と出資法で、利息制限法では次のようになっています。
借入元本 | 上限金利(年利) |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
これに対して出資法では29.2%(平年の場合)になっていて、この間の金利はグレーゾーン金利と呼ばれていました。
消費者金融は利益を追求する企業ですから、当然金利が高いほうが利益が上がるため、出資法を基にして金利を決めているのが普通でした。
しかし利用者としてはやはり低いほうが利息が少なく有利ですから、こういった金利設定はおかしいと思う訳です。
このためいくつもの裁判が起こされ、払い過ぎたとする利息の返還が請求されました。
最終的には貸金業法の改正でこのグレーゾーン金利が撤廃され、上限金利は利息制限法が適用されることになったわけです。
しかもそれまで支払っていた、高い利息は払い過ぎていたという事になりますから、この分が過払い金という事になりました。
この場合冷静に考えれば、消費者金融にも利用者にも罪はなく、法律を制定した政治の責任と言えるでしょう。
そういう経緯があって、過払い金が生じていれば利用者はその返還を請求する権利が生じます。
ですから、以前消費者金融を利用していた場合には、利息を払い過ぎていた可能性があり、過払い金が生じていることが考えられます。
もちろん過払い金は適用になっていた金利によって有無が変わりますから、当時グレーゾーン金利内にある金利を付けていたことが前提になります。
この法律は何度か改正され、直近の改正で本文で説明しているグレーゾーン金利の撤廃や、年収によって融資の上限がきまる総量規制などが盛り込まれました。
この改正は消費者金融の経営体力を大きく奪う事になり、当時あった消費者金融の半分が消えたと言われています。
当然と言えば当然ですが、払い過ぎた利息は、返還を請求することができて、実際に返還もされているので、もし自分にも過払い金があるという事であれば返還請求を考えてみましょう。
返還請求というのは、まず幾ら過払いになっているのかを計算して、それを基に返還を請求しなければなりませんから、幾ら過払い金があるのか分からない場合には、業者側に問い合わせる必要があります。
消費者金融によっては、既に経営的に行き詰ってしまって、無くなっている場合も有りますが、通常は債権が他の業者に渡っているので、その渡った先の業者に対して返還を請求することができます。
この過払い金というのは、そもそも支払う必要のない利息を支払ったわけですから、言ってみればお金を消費者金融に強引に預けさせられているのと同じです。
ですから、そもそもが利用者側のお金であって、利用者が請求すれば返還しなければならないものです。
ですから、当時利用していたことがはっきりしているのであれば、いくらの過払い金があるから返還してくださいと消費者側に通告すれば、返還してもらえる事になります。
ではどのように返還を請求すれば良いのかというと次のような手順で行います。
請求するためには、まずどの様な取引を行って、いくら利息を支払っていたのかを確定させなければなりません。利用当時の利用明細書などが有れば利用できますが、まず保管はしている人はいません。
このため消費者金融に対して、取引履歴の請求を行います。請求方法は消費者金融によって違い、電話やメールでできるろころも有れば窓口に行かなければならない場合も有ります。
これによって開示請求書が送られてきますから、これで開示請求を行えば取引履歴が手に入ります。
取引内容が分れば、利息制限法内の金利で引き直し計算を行って、幾らの過払い金があるのかを計算します。
利息の計算方法を知っていれば自分でも計算できますが、あまりそういった計算に慣れている人はいない筈ですから、専用のExcelシートや計算ソフトがネット上で提供されています。
そういったものを利用して、引き直し計算を行ってください。
引き直し計算を行えば過払い金の金額が分かりますから、この金額で過払い金返還請求書を作成します。これもネット上にフォーマットが提供されていますから、それに則って作成します。
過払い金返還請求書ができたら、それを内容証明郵便で郵送すれば、請求の手続きは終了です。
場合によっては、すでに利用していた消費者金融が無くなっているという事も有ります。
そういう場合にはもう過払い金請求は難しいのかというと、そうでもありません。
その無くなってしまった消費者金融の債権はどこか別の業者に売られているのが普通ですから、その業者に対して過払い金請求を行う事ができます。
ただし、どこの業者に渡っているのかを調べなければなりませんから、面倒になってしまっているのは間違いありません。
人によっては複数の業者を利用していたかもしれず、過払い金の返還を考えるときは、そういった自分の借入れを思い出して整理してみる必要があります。
ただし、請求すればそのままの金額で返還されるわけではありません。消費者金融の経営は決して良い訳ではありませんから、業者によっては何だかんだと言って返還額を減額してきます。
こういうことも有って、利用者個人で過払い金の返還請求を行っても、満額返還されることはまずなく、必ずといって良いほど減額されたものになってしまいます。
このため、なるべく高額の返還を狙うためには、弁護士などの専門家に依頼して、請求を行ってもらいましょう。もちろんその分のお金がかかりますが、それでも自分で請求するよりも有利なはずです。
この手順で返還請求自体は確かに終わりますが、消費者金融側から言えば、お金を返還するということは、その分損失になるという事です。
このため経営が安定して、多くの利益を上げているような消費者金融ならともかく、現在ではそう多くの利益を上げている消費者金融は少ないので、業者側も何だかんだと言って返還額を削ろうとしてきます。
もしこの和解交渉で妥協できなければ、更に裁判所に訴えを起こして判断を仰ぐことが必要になります。
こういったことも有って面倒な上に、更に個人で請求すれば、どうしても金融の知識で個人では対抗するのが難しいですから、不利な妥協点で妥協せざるを得なくなってしまいます。
つまり最初に返還を請求した金額から、かなり減額された金額で妥協を強いられることになる訳です。
余分に支払っているわけですから、本来こんなことが有ってはいけないのですが、消費者金融も生き残りがかかっていますから、そう簡単には引き下がりません。
ですから個人的に過払い金の返還を請求する場合には、こういった面倒なことになることを覚悟しておくべきでしょう。
こういうことも有って、なるべく高額の過払い金の返還を狙うのであれば、個人的に行うのは限界があるので、やはり金融に知識で対抗できる、専門家に依頼した方が高額の返還が狙えます。
専門家というのは弁護士や司法書士ですが、司法書士の場合には請求できる過払い金は140万円までという上限が設定されているので、依頼する先を自分に合わせて選ぶ必要があります。
もちろんこういった依頼をすれば、それなりの報酬を支払わなければなりませんから、その分は損失になりますが、大概の場合にはそれを支払っても個人的に請求するよりも高額のお金が返ってくるものです。
最近では少なくなりましたが、悪徳弁護士と言われるような人もいて、高額の報酬を取られてしまったというようなことも有るので、十分注意しなければなりません。
利用者の中には返還請求すると信用情報に記載が残るからできないと言う人もいます。確かに最初の頃はそういう事がありましたが、現在では、過払い金の返還を行った場合は記載は残らない事になっています。
過払い金というのは、払い過ぎたお金のことですから、そのお金は本来支払った人のものです。ですから返済してもらう権利があるのです。したがって返済を遠慮している必要など全くありません。
ただし、過払い金の請求は、過払い金が生じてから10年で時効を迎えます。このためよく自分が返済していた時期を考えて、時効になっていないかどうかを調べてみることが必要になります。
この過払い金の返還というのは、消費者金融的に考えると、当初の契約通りの返済にはならない訳ですから、契約に違反するということです。
当初の契約を変更するという事は、例えば返済が行き詰ってしまって返済条件を変更する債務整理と同じ意味を持ちます。
債務整理を行えば、消費者金融としては当初の利益を上げることができませんから、利用者はとんでもない奴だという事で、そういう事が有ったという事を信用情報に記載します。
そしてそういった記載が信用情報にあると、その情報が消えるまで、他の金融業者でローンを利用しようとしても、どこに行っても審査通過が難しくなるいわゆるブラックという状態になってしまいます。
当初はこの過払い金の返還請求についても、やはり信用情報に記載されブラックになってしまっていました。このため利用者の中には過払い金の返還請求をためらう人もいるのです。
ですから安心して過払い金の返還請求を行ってください。
また利用者の中には、もうかなり昔のことで、今から請求しても消費者金融にも申し訳ないと考える人もいます。
他人に迷惑を掛けたくないという日本人らしい考え方でもあるのですが、そんな遠慮をする必要はありません。
過払い金というのは本来支払う必要が無かったお金で、消費者金融のお金ではないのです。ですからもともとの持ち主が返還してもらう権利があります。
お金というのは有って困るものではありません。自分のお金は元の位置に戻して貰うに越したことは無いのです。
注意が必要なのは時効です。時効になってしまえば、返還を請求しても消費者金融はそれを拒否できます。
この時効は過払い金が発生してから10年です。したがって過払い金の返還を請求するにはこの点を踏まえて計算を行わなければなりません。
以前テレビのコマーシャルで、過払い金というものが発生した法改正から10年経過するというような事を盛んに警告して利用者を集めている司法書士がありましたが、これは間違いです。
時効は法改正の時点ではなくて、過払い金が発生してから10年経過後ですから、この点注意して下さい。
ただし時効が迫っているのは間違いありませんから、過払い金の返還請求はできるだけ早く行うようにしましょう。
この信用情報に金融機関にとって深刻な情報が格納されていた場合、どこも審査に通すことがなくなり、ブラックと呼ばれる状況になります。
ここで消費者金融への過払い金の返還請求について纏めておきます。
自分ではそもそも過払い金があるかどうかわからない場合でも、専門家に相談すればすぐに調べてくれるので、まずは相談してみるのがお勧めです。