サラ金というのは銀行よりも借りやすい金融業者として当初は歓迎されましたが、高金利の上に厳しい取り立てという横暴が行われ、これを取り締まるために現在の貸金業法に繋がる法律が制定されました。
この法律はサラ金を規制するため、改正の度に厳しい規定が設けられ、直近の改正で、年収によって融資上限を規制するための総量規制が設けられ、サラ金は従来のような融資ができなくなりました。
また従来法律間で食い違いが有った上限金利間のグレーゾーン金利が廃止となり、この金利で計算された利息が取り過ぎとされ、返還に応じなければならず、これもサラ金の体力を大きく奪う事になりました。
サラ金誕生の当時は銀行よりも借り入れ条件が緩く、多くの人がお金を借りられるようになって歓迎されたのですが、高金利の上に厳しい取り立てという横暴な行為が目立つようになってしまいました。
そこで、こういった行為を規制するために、俗にサラ金規制法と言われた貸金業の規制などに関する法律が制定される事になり、サラ金の規制が始まったのです。
この貸金業の規制などに関する法律は2度の改正を経て、名称も貸金業法と改められ、総量規制やグレーゾーン金利の撤廃などが盛り込まれることになり、現在に至っています。
サラ金というのは、高度成長期を迎えて資金需要が増えていた時期に、銀行が相変わらず貸出しのハードルを高くしていて、なかなか借りられない人が多かった時に、その需要を狙ってでてきた貸金業者です。
当初はそれまで借りられなかった人でも、比較的容易にお金が借りられましたから、歓迎されていて、利用者も右肩上がりで増加していきました。
しかし、その商売のやり方というのは利益を追求するあまり、高金利の融資で、厳しく取り立てるというものであったため、その横暴さが目立つようになり、サラ金という名前は地に落ちます。
そのうちには厳しい取り立ての為に一家心中に追い込まれたりすることが出てきて、サラ金自体が社会問題として扱われるようになってしまいました。
こういった中で、このような商売を規制しなければならないという機運ができて、遅きに失した感はありましたが1983年に貸金業の規制等に関する法律が制定されました。
この法律は別名サラ金規制法というような呼ばれ方をして、こういった貸金業者は都道府県に届け出て登録しなければならなくなり、事業内容の規制も行えるようになりました。
またこの法律によって、取り立てが行える時間が規制されるなど、利用者の保護も行われ、サラ金側もそれまでのような横暴な商売はやりにくくなりました。
この法律は過去に2度の改正が行われ、まず2004年には、それまでこの法律に従わなかった闇金を規制するため内容が厳しくなり、闇金の取り締まりがやりやすくなりました。
次に2007年に改正で容も大変厳しい内容が盛り込まれ、特に業者にも利用者にも影響が大きい次の2点が盛り込まれました。
この2点については次節以降で説明します。
この改正でこの法律の名称は正式に貸金業法となり、サラ金改め消費者金融には非常に怖い存在になりました。
こういった背景があったために、無担保、保証人なしで融資が行われたサラ金が歓迎されたわけです。
この直近の改正前は、まだ比較的サラ金は融資がしやすく、資産状況によっては収入が無くても融資が行われるなど、利用者側から見ても、借りやすくなっていて、ついつい借り過ぎてしまう事もありました。
そこでそういった返済が難しくなるような無理な借り過ぎを防ぐ目的で設けられたのが総量規制で、これによって融資上限が年収によって制限されることになりました。
このため、年収が伴っていなければ、サラ金は高額の融資が行えなくなってしまい、利用者の方もそれまでのような安易な借り入れができなくなってしまいました。
この貸金業法は改正の度に規制が厳しくなっていったと言う経緯があります。
逆に言えば、改正の前というのは、規制に穴が有って、サラ金側がつけ入る事ができる部分があったわけです。
例えば融資は基本的には返済ができるだけの収入が要求されますが、以前は資産状況によっては審査通過が可能で、専業主婦や収入の少ない女性などでも比較的簡単に借りる事が出来ました。
このためこういった中には、借りたお金でパチンコに興じたり、必要も無いのにブランド品を買い続けるといった依存症に陥ってしまう人も少なくありませんでした。
こういったことを続けていると、最終的には返済ができなくなって、家族に大きな迷惑をかけるといったことになったりして、大きな社会問題にもなりました。
そこでこういったことも理由の一つになって貸金業法に設けられた規制が総量規制です。
総量規制では、貸金業者が融資できるのは基本的に借入先全社合計で年収の3分の1までという事になっており、利用者ごとに年収による融資上限が決まる訳です。
ただし、これではお金が借りられずに困る事も発生する可能性が有る為、次の2点の例外規定が設けられています。
サラ金などの貸金業者はこの規定に違反しない範囲で融資を行わなければなりません。
サラ金は融資を行って返済するときに利息を払ってもらって利益に繋げています。このためできるだけ融資を増やさなければ業績を上げ続けることができません。
ですから、この総量規制というのは、その融資の足枷になってしまうために、サラ金としては、かなり迷惑な規制という事が出来、この為に従来のような商売ができなくなったところも多かったはずです。
利用者側から見ても、以前はこういった規制がありませんでしたから、高額の融資を利用して、生活を維持しているような人もいたのですが、そういったことができなくなって当初は混乱したはずです。
しかし、この規制ができたおかげで、自分の返済能力を超えるような無理な融資の利用が少なくなり、健全な生活ができるようになった人も増えたので、結果的には良い規制だったと言えるでしょう。
ただし、例外規定が有る為、サラ金で融資を申込む場合でも50万円までは収入証明書の提出は求められ無いのが普通です。
しかし、それを超えるような融資を申込む場合には、サラ金側も法律違反にならないために、年収を証明するような収入証明書の提出を要求します。
そこで、このような融資の申し込みを行う場合には、予め書類を用意しておくようにしましょう。
直近の改正でのもう一つの大きな目玉に、グレーゾーン金利の撤廃があります。このグレーゾーン金利というのはそれまで法律間で食い違っていた上限金利の間の金利を指します。
この食い違いから借り手と貸し手の間で大きな諍いが生じてしまう事も有り、この改正で上限金利は低いほうに合わせられ、しかもそれまでのグレーゾーン金利分は過払金とされ返還請求できる事になりました。
この過払金の返還が、先程の総量規制とともにサラ金の経営体力を大きく奪う事になって、その時にあったサラ金は大手を含めて軒並み経営に行き詰ってしまうほどでした。
もう一つの貸金業法改正の目玉はグレーゾーン金利の撤廃でした。
金利というのは高ければ高いほど業者的には利息が取れて利益が上がりますから、サラ金はできるだけ高い金利にしようとするものです。
しかし、あまりに金利が高すぎると、利息が膨らんで利用者が返せなくなってしまいますから、法的な上限が決められています。
この上限を決めている法律に利息制限法というものがありますが、実はもう一つ出資法というものの中でも金利の上限を決めています。
この2つの法律が一致していれば問題はなかったのですが、食い違いがあったことから、この差の部分がグレーゾーン金利と呼ばれる事になり、サラ金側は当然高いほうを基準に融資を行っていました。
この上限金利は次のようになっています。
借入金額 | 利息制限法 | 出資法(平年) |
---|---|---|
10万円未満 | 20% | 29.2% |
10万円以上100万円未満 | 18% | 29.2% |
100万円以上 | 15% | 29.2% |
当然ですが利用者側は利息制限法の方を基準に考えますから、様々な裁判などが起こされ、争われました。
しかし貸金業法の改正でこのグレーゾーン金利は撤廃になり、過去に遡って利息制限法の規定が適用になるという事になったわけです。
現在でも弁護士事務所などが過払金請求についてのコマーシャルを盛んに流していますが、この過払金というのは、このような経緯で発生したものです。
もちろんサラ金側は、利息を受け取るのではなくて返還していたらその分業績が下る訳ですから、堪ったものではありません。
返還を請求しても、いろいろと屁理屈を言って、返還額を削減しようとするので、過払金の返還請求は請求後の交渉が非常に重要になります。
このように直近の貸金業法の改正では、総量規制で貸し難くなったうえにグレーゾーン金利の撤廃で、思うような金利が付けられず、利息収入が圧縮されました。
更に過払金請求にも対応しなければならず、利益どころか損失が出る状況になったために、サラ金は大きく業績を下る事になりました。
このため、この貸金業法改正後、大手を含めてほとんどのサラ金は経営危機に陥ってしまい、現在残っている大手の多くは銀行が支援して助かりましたが、その他は中小に至るまで半数が消えてしまいました。
いかにこの改正が貸金業者に大きな影響を与えたかが良く分かります。
ですから過払金請求は費用が掛かったとしても弁護士などの専門家に任せたほうが、結果的には高額の返還になるのが普通です。
良い専門家を選んで返還請求を依頼してください。
貸金業法はこのようにサラ金にとっては非常に困った法律で、制定当時から、この法律に従わない業者も有りました。貸金業者はこの時点で正規業者といわゆる闇金に分かれる事になったのです。
ただし、最近は貸金業法も厳しくなって、下手をすると元金の回収もできなくなる事もあるので、最近の闇金は表向きは法律を遵守している闇金も増えているので注意しなければなりません。
ですから、サラ金を利用する場合には、申込みを行う前にその業者が闇金でないことを確認することが重要で、そのためには業者の登録情報を調べてみる事が必要です。
このように貸金業法によって、サラ金は従来の体質を改善して、信頼できる金融業者に成長してきていますが、すべての業者がそのようになっているというわけっではありません。
こういった貸金業者というのは、多かれ少なかれ裏社会とつながりがあるもので、上場を果たした大手業者を除いて、その関係はなかなか切れるものではありません。
こういったつながりの程度によって貸金業法の制定でそれを遵守する業者と、最初から無視する業者に分かれ、後者が現在で言う闇金に繋がっています。
ただし、最近では貸金業法の規定が厳しくなって、下手に厳しく取り立てなどを行ってしまうと、元金の返済も見込めなくなってしまいますから、表向きは法律を遵守する闇金も増えています。
しかし手口として、返済が難しくなった人に対して、利息分だけ融資してくれるような闇金を紹介して、お金を借りさせ、利息分だけを払わせるというような業者が横行しています。
この場合利息だけの支払いですから、翌月も元金が減らず、同じだけ利息を取る事ができます。つまりこれを繰り返せば、お金を払っても払っても、利息を吸い上げることができる訳です。
そこでサラ金を利用する前に、その業者が闇金かどうかを確認する必要がありますが、その方法は比較的簡単で、正規のサラ金は説明したように業者登録が行われています。
この登録情報は金融庁のホームページから検索できるようになっていて、誰でも登録情報を確認することができますから、この情報と利用しようとしている業者が提示している情報を比較すれば良い訳です。
具体的には登録情報で次の情報を確認してみて下さい。
特に闇金は実際に有る業者を偽装していて登録情報をそのまま利用し、電話番号だけを変えておくというような場合がありますから、必ずこれらすべての情報が一致するかどうか確認してください。
すべて一致していれば、その業者は業者登録した正規業者という事になります。
もし返済中にトラブルが発生したら、すぐに警察に相談して取り締まってもらいましょう。
ここで、サラ金のキャッシングを規制している貸金業法について纏めておきます。
正規業者でも闇金に近い業者も有るので、利用中おかしいと思ったら専門家に相談することも考えて下さい。